2009年10月4日日曜日

かなり遅ればせながら

6月に鎌倉で行ったn.c.cafeで紹介したCDをいくつか紹介したいと思います。
日本ノルウェー音楽家協会から届いた、ここ数年に発表されたCDの段ボール箱!のなかから数枚をピックアップしました。どれもすばらしく、選ぶのに苦労しましたが、個人的に馴染みのあったものから選んだという感じです。
この中のグループ(Bruvoll/HalvorsenやRammeslag)には、これ以降、最新作を出している人たちもいて、その評判もとても良いです。

Anne Hytta “dag, kveld, natt” Anne Hyttaは、テレマルクの曲を得意とする若手ハーディングフェーレ奏者の一人。このソロアルバムで、彼女は3つの調弦法によるテレマルクの伝統曲を、それぞれ、昼、夕刻、夜、と題して提示しています。瑞々しい音色やリズムとともに、それぞれの曲の解釈の深さ、曲の提示のアイデアは、独自の世界観に溢れています。

Patrik Andersson & Vegar Vårdal “finnskogen brinner” ノルウェーとスウェーデンの国境周辺に15-16世紀にかけて、フィンランドから多くの人々が移住し、開拓した一帯があります。現在では「finnskog=フィンランド人の森」と呼ばれているその地域周辺の曲をノルウェーとスウェーデンのフィドル奏者、VegarPatrikが演奏します。思わず体がウズウズするような躍動的なリズムと、2人の見事なアンサンブルは、いつまでも聴いていたくなるような幸福感を与えると同時に、音楽のもつ儚さや悲しみが伝わってきます。

Tore Bruvoll, Jon Anders Halvorsen “nattsang” 「夜の唄」と題されたこのアルバムでは、11の唄が収録されています。すべてテレマルクの古い唄ですが、出典はJon Andersが直接歌い手から教わったものに加え、アーカイヴ録音や採譜などの資料からとったものもあります。Toreをはじめとするミュージシャン達の巧みなアレンジと、想像をかきたてる空白感、Jon Andersの暖かい歌声によって、不思議な夢の物語や、残酷な内容を持つ唄も、教訓的でもノスタルジックというわけでなく、自然のままに美しく提示されているようで心地よく感じられます。センスの良いアルバムです。

Unni Løvlid, Frode Haltri, Vegar Vårdal “Rusk II” Ruskの3人によるアルバムでは、ライブ録音とスタジオ録音を取り混ぜ、収められています。スウェーデンとの国境に近い東ノルウェーの曲を中心とするレパートリーを素材に、ドラマチックな世界をユーモアたっぷりに作り上げています。戦場から戻ってきた兵士の悲しいラブストーリー、アメリカへの移住を決めた一家が家を売る歌、船員である恋人を夜な夜な待ち続けた少女のハッピーエンドストーリー。まるで短編小説を読んでいるかのごとく、Ruskの世界に引込まれていきます。

Daniel Sanden-Warg / Sigurd Brokke “Rammeslag” スウェーデン出身のDaniel(フェーレ、ハーディングフェーレ)と、口琴(ムンハルパ)の名手Sigurd Brokkeという2人の若手ミュージシャンによる、セテスダールの伝統曲のアルバム。2人のアルバムではありますが、共演曲はありません。それぞれが、それぞれのレパートリーを順に披露していくというスタイルは、昔気質のfolkemusikkのコンサートではよくとられる形式。あたかも2人の演奏家が並んで、聴衆に向かってコンサートをしているかのような設定です。2人の、セテスダールの音楽と古くからのミュージシャンに対する愛情が詰まっています。

Unni Boksasp “songar frå Havdal” これは、なんとも居心地の良いCDです。Unniの出身地である、西ノルウェー、Nordmøreの民謡を、唄以外の他の楽器とともに演奏したもの。牧歌的な生活には日常のlokk(動物を呼ぶ唄/声)や子守唄、子供の唄などを中心に収録しています。

2 件のコメント:

  1. その節はお世話になりました。
    ご紹介のCD、みな良いものばかりですね。
    ノルウェー語が分からないので、内容解説はとてもありがたいです。とくにRuskのCDあたり、初めて内容を知りました。こういう内容だったのですね。

    個人的には、2番目と6番目が好きです。
    ノルウェーのオンラインショップで入手したものが大半ですが、たぶん5番目以外は日本でもタムボリンという通販ショップで手に入ると思います。ご参考までに。

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  2. こんばんは!
    コメントをありがとうございます。
    どれも大好きなCDで、甲乙付けられませんが、6番目のは何かと特別な思い入れできいてしまいます。とてもうれしいコメントでした。

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